物性基礎工学研究グループ (田仲研)
 

マヨラナフェルミオンの理論


マヨラナ粒子のブレディング・ダイナミックス

低次元での粒子の交換はブレイディングとよばれ、ブレディング群を成す。 マヨラナ粒子のブレディング群の表現は(1+1)次元と(2+1)次元で非可換であり、非可換エニオンを示す。 しかし、この性質は、相互作用がなく、縮退を保ったままの粒子の場合に成立する。 実在の系では、有限の小さな結合がマヨラナ粒子対の間に生じ、縮退をわずかに解くと期待される。 そのとき、非可換統計性に対する疑問が自然と生じる。 微小な結合エネルギーなら、厳密にゼロエネルギーでなくてもマヨラナ粒子のままだと考えられるが、 ブレイディングダイナミックスがどのように変わるかは重要な問題である。

 
 図1:キタエフチェーン
我々は、タイトバイディングモデルを用いてこの問題を数値的に解いた。 超伝導のダイナミックスを支配するボゴリュボヴ・デュ・ジャーン方程式を数値的に解き、 マヨラナ粒子の波動関数の時間発展を評価した。 これにより、ブレイディングが成功する条件を明らかにし、 なおかつ色々な機構によって非可換的な振る舞いが崩壊する条件も明らかにした。 モデルとして、図1で示される十字形で結合したキタエフチェーンを利用した[2]。 真ん中のオレンジ色の結合をゲート電圧で制御し、ワイヤ同士の結合・切断の切り替えを行い、 マヨラナ粒子が束縛されているワイヤの端の位置を操作する。 図2の3つのアニメーションは、操作速度が異なるブレイディング過程でのマヨラナ粒子対の波動関数(の二乗)を示している。 図2aでは、徐々に進む変位と初期の場所に戻ることが成功することが見える。 一方、図2bは、速すぎる操作がバルク励起によって波動関数を破壊することが見え、 図2cでは、遅すぎる操作だと二つのマヨラナモードの間にあるダイナミカルな引きずりで弱く結合したものは一緒に動き、ブレイディングが失敗する。 また、ブレイディング過程に伴う波動関数の変化を解析することにより、 ブレイディングが成功する場合には固有の非可換統計性が示されることが確認した。

   
図2a図2b図2c


[1] C. S. Amorim. K. Ebihara, A. Yamakage, Y. Tanaka, M. Sato PRB. 91, 174305 (2015)
[2] A. Y. Kitaev.. Physics-Uspekhi, 44, 131 (2001)

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2013 Tanaka Lab.