物性基礎工学研究グループ (田仲研)
 

奇周波数超伝導体の理論


奇周波数ギャップ関数の示す特異な性質

ロシアランダウ研究所Fominov博士、北海道大学工学研究科浅野泰寛先生、ロンドン大学Eschrig先生との共同研究で奇周波数超伝導に関する非常に基本的な問題を考えました[1]。 奇周波数ペアは、対称性の破れなどにより例えばエッジ状態として現れることが最近の研究で確立しています。 こうした奇周波数ペアは、電磁場に対してパラマグネティックな応答をします。 したがって磁場は遮蔽をしないので、バルクの状態で一様な奇周波数Gap関数を考えることは長らく困難であると考えられてきましました。 バルクで安定なディアマグネティックな電磁応答をするクーパー対を考えるためには、異常グリーン関数について特別な関係を必要とします。 最近熱力学的安定性を課すことで、バルクで安定なディアマグネティックなクーパー対が提案されました。 しかしこのクーパー対の関数は従来から知られるパラマグネティックなものとは根本的に異なります。 問題は両者が共存したときどうなるか、あるいはジョセフソン結合がどうなるかという基的問題です。 我々の数年間の研究により、両者が共存すると例えば超流動密度に虚数成分が混ざったり、ジョセフソン電流に虚数成分が混ざるという非物理的な結果が得られることが明らかになりました。 またディアマグネティックな奇周波数ギャップ関数を安定化する自然な自発的対称性を破る項も存在しません。 異常の観点からバルクで一様な奇周波数Gap関数を考えるのは非常に難しいということが明らかになりました。

Consequences of bulk odd-frequency superconducting states for the classification of Cooper pairs
Yasuhiro Asano, Yakov V. Fominov, and Yukio Tanaka
Phys. Rev. B 90, 094512 (2014)




一次元磁性原子列のトポロジカル超伝導と奇周波数ペア

近年、超伝導上の磁性原子列の系がトポロジカル超伝導を示すという理論的提案がなされ、注目が集まっています[T. P. Choy, PRB (2011)]。 さらにこの系においてSTMによるマヨラナフェルミオンの観測の実験も始まっています[S.Nadj-Perge, Science (2014)]。 本研究ではこの1次元磁性原子列/超伝導の系において端に現れるマヨラナフェルミオンと上の項目で説明された奇周波数ペアが対応していることを明らかにしました。 また奇周波数ペアがゼロエネルギーの波動関数のもつパリティ、マヨラナフェルミオンのスピンの方向とも関係していることも示されました。 これまでの奇周波数ペアの観測の方法がマヨラナフェルミオンの観測に適応できることを意味し、その実験の提案も行っています。

   
超伝導体上の磁性原子列端での局所状態密度(左)と奇周波数ペアの空間分布(右)


Odd-frequency pairing in topological superconductivity in a one-dimensional magnetic chain
Hiromi Ebisu, Keiji Yada, Hideaki Kasai, and Yukio Tanaka
Phys. Rev. B 91, 054518 (2015)


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2013 Tanaka Lab.