1. Theory of tunneling spectroscopy of d-wave superconductors
Physical Review Letters , Vol. 74, No.17, pp.3451-3454, 1995
Y.Tanaka and S.Kashiwaya
 
異方的超伝導体と常伝導金属の接合系における微分コンダクタンスの理論を導出したものであり、異方的超伝導体のトンネル分光の基礎的論文である。
 この理論を銅酸化物超伝導体で実現されているd波対称性を持つ超伝導状態に適応して様々な結晶軸の方位に対して計算を行い、ゼロ電圧コンダクタンスピークを含むさまざまな微分コンダクタンスの電圧依存性を説明した。異方的超伝導体界面でフェルミ面直上に形成されるゼロエネルギー状態[今日では(ミッドギャップ)アンドレーエフ束縛状態、(ミッドギャップ)アンドレーエフ共鳴状態ともよばれている]とコンダクタンスに現れるゼロ電圧のピークの関係が解明された。
 従来トンネル分光は超伝導体のペアポテンシャルの振幅を測定する手段と考えられてきたが、本論文で本質的に位相検知性を有することが示され、その後のトンネル分光および接合系の輸送特性を抜本的に考え直させるきっかけとなった。(引用件数 713)
 新しい超伝導体が発見されるたびに、トンネル分光の論文で引用される重要な論文である。またこの論文の詳しい内容は、Physical Review B Vol. 53 2667(1996)(引用件数 233)に出版されている。