1. Microscopic theory of spin triplet f-wave pairing in quasi-one-dimensional organic superconductors,
Physical Review B (Rapid Communications), Vol. 70, No. 6, 060502_1-4, 2004
Y. Tanaka and K. Kuroki.
 1次元超伝導体(TMTSFXの超伝導対称性は古くからの問題であった。クーパーペアの対称性は、p、d、f波の様々な可能性が指摘されていたが、最近のナイトシフト、あるいは上部臨界磁場の実験結果は、スピン3重項状態を示唆している。一方2電子間で、スピンや電荷の揺らぎを交換することにより電子対の有効相互作用が決まると考えると、スピン3重項状態の有効相互作用が引力的になる。今の場合フェルミ面が擬1次元的であるために、電子対の有効相互作用が大きくなるのは2枚のフェルミ面の間で電子が散乱される場合となる。その結果、2枚のフェルミ面で単純に符号変化を変えるp波状態の実現は困難となる。そこで可能性として考えられるのがf波の状態である。今フェルミ面が閉じていないためにブリルアンゾーンの中ではペアポテンシャルのノードがf波の対称性のために多く現れても、フェルミ面の上ではd波とノードの数は同じであるので、f波はd波と比べて決して不安定とはいえない。一方実験的に、波数2kSDW2kfCDWの共存が指摘されている。波数2kSDWCDWの不安定性を考慮にいれるために、本論文では次近接クーロン相互作用までを考慮に入れて電子密度が25パーセント充填されている擬1次元電子系の有効相互作用をRPAの範囲で求めて、ギャップ方程式を解くことで超伝導状態の安定性を調べた。電荷感受率 スピン感受率が同程度のときにf波状態が現れることが明らかになった。この論文では近接相互作用、次近接相互作用を伝導方向の1次元鎖方向にだけに存在すると仮定したが、鎖間方向の近接相互作用を考慮するとよりf波が現れやすくなることをJournal of the Physical Society of Japan, Vol.74, pp. 1694(2005)に発表し、本論文の結論の正当性を確かなものにした(引用数39)。